AIにおけるファインチューニングとは

AIにおけるファインチューニング(Fine-Tuning)は、既存の機械学習モデル(特に事前学習済みモデル)を、特定のタスクやデータに適応させるために再トレーニングするプロセスを指します。この手法は、ゼロからモデルを構築するよりも効率的で、トレーニングデータや計算リソースを節約できる利点があります。


ファインチューニングの主なポイント

  1. 事前学習済みモデルの活用:
    • ファインチューニングでは、汎用的なデータ(たとえば画像認識モデルではImageNetデータセットなど)で事前学習されたモデルを利用します。
    • 事前学習済みモデルは、一般的な特徴(例えば画像ならエッジやテクスチャ、NLPなら単語や文の意味)を学習済みです。
  2. タスク固有のデータで再トレーニング:
    • 自分の特定のタスクに適応させるため、小規模でもターゲットタスクに関連するデータセットを用いてモデルを再調整します。
  3. 転移学習との関連性:
    • ファインチューニングは転移学習の一種で、特に事前学習済みモデルの一部を再トレーニングする形で行われます。
  4. 全体トレーニング vs 部分トレーニング:
    • 全体トレーニング: モデル全体を再トレーニングする。
    • 部分トレーニング: 特定の層だけを再トレーニングする(通常は最終層やタスクに近い部分)。

主な用途

  • 画像分類: 例えば、事前学習済みのResNetを使い、医療画像(X線やMRI)の診断モデルを構築。
  • 自然言語処理(NLP): GPTやBERTのようなモデルをファインチューニングして、カスタムな質問応答システムや感情分析モデルを構築。
  • 音声認識: 音声認識モデルを特定の言語やアクセントに適応。

ファインチューニングのプロセス

  1. データ準備:
    • タスク固有のデータを収集し、適切にラベル付け。
    • データの前処理(クリーニング、正規化など)。
  2. 事前学習済みモデルのロード:
    • TensorFlowやPyTorchで利用可能な事前学習済みモデルをロード。
  3. モデルの調整:
    • 出力層を置き換える(たとえば、画像分類では新しいクラス数に対応させる)。
    • 必要に応じて一部の層をフリーズ。
  4. トレーニング:
    • タスク固有のデータセットでモデルを再トレーニング。
  5. 評価と調整:
    • モデルの性能を評価し、ハイパーパラメータ(学習率、バッチサイズなど)を調整。

ファインチューニングのメリット

  • 効率的: 少量のデータと計算リソースで済む。
  • 精度向上: タスクに特化した高精度なモデルを作れる。
  • 実用性: 既存モデルを再利用することで、新しいタスクに迅速に適応可能。

使用例

画像分類 (PyTorch例):

import torch
from torchvision import models
from torch import nn, optim

# 事前学習済みモデルをロード
model = models.resnet50(pretrained=True)

# 出力層をタスク固有に置き換え
model.fc = nn.Linear(model.fc.in_features, num_classes)

# 最適化と損失関数の設定
optimizer = optim.Adam(model.parameters(), lr=0.001)
criterion = nn.CrossEntropyLoss()

# 再トレーニング
for epoch in range(num_epochs):
    for images, labels in dataloader:
        optimizer.zero_grad()
        outputs = model(images)
        loss = criterion(outputs, labels)
        loss.backward()
        optimizer.step()

ファインチューニングを適切に活用することで、既存のリソースを活かしつつ、特定のタスクに高性能なモデルを実現できます。

初心者にも分かりやすいファインチューニングの具体例

ファインチューニングの具体例を、初心者にも分かりやすい形で説明します。以下の例では、猫と犬を分類するAIモデルを作る場合を考えます。


事例:猫と犬を分類するAIを作る

背景:

あなたは、自分のスマホに猫と犬の写真を撮ったら、自動的に猫か犬かを判定してくれるアプリを作りたいと思っています。しかし、ゼロからAIモデルを作るのは大変です。そこで、すでに公開されている「犬や猫だけでなく、多くの動物を分類できるAIモデル」を利用します。このモデルを「猫 vs 犬」専用に仕立て直すのがファインチューニングです。


1. 事前学習済みモデルの利用

すでに研究者や企業が開発した「画像分類モデル」(例えばGoogleが作ったInceptionやResNet)が存在します。このモデルは、1,000種類以上の物体を分類する能力を持っています。

  • できること:
    • 猫、犬、車、飛行機、花など、たくさんの物体を識別。
  • 課題:
    • このモデルは、私たちの目的(猫と犬だけの分類)には特化していません。

2. 自分のタスクに特化させる(ファインチューニング)

① 写真を準備する:

  • スマホで猫と犬の写真をそれぞれ100枚撮影します。
  • データセットを用意するため、フォルダを分けます。
    • cats/フォルダに猫の写真を保存。
    • dogs/フォルダに犬の写真を保存。

② モデルの調整:

事前学習済みモデルを使い、出力層(分類の部分)を「猫」か「犬」の2クラスだけに変更します。


3. ファインチューニングのプロセス

具体的なコード例(Python + PyTorchの場合)

以下のコードを実行するだけで、事前学習済みモデルを利用して猫と犬を分類するAIが作れます。

import torch
from torchvision import datasets, models, transforms
from torch import nn, optim

# 画像の前処理(リサイズ・正規化など)
transform = transforms.Compose([
    transforms.Resize((224, 224)),
    transforms.ToTensor(),
    transforms.Normalize(mean=[0.485, 0.456, 0.406], std=[0.229, 0.224, 0.225])
])

# データセットの準備
train_data = datasets.ImageFolder('path_to_training_data', transform=transform)
train_loader = torch.utils.data.DataLoader(train_data, batch_size=32, shuffle=True)

# 事前学習済みモデルのロード(ResNet50)
model = models.resnet50(pretrained=True)

# 出力層を置き換える(猫と犬の2クラス用)
model.fc = nn.Linear(model.fc.in_features, 2)

# 損失関数と最適化手法の設定
criterion = nn.CrossEntropyLoss()
optimizer = optim.Adam(model.parameters(), lr=0.001)

# モデルのトレーニング
num_epochs = 5
for epoch in range(num_epochs):
    for images, labels in train_loader:
        optimizer.zero_grad()
        outputs = model(images)
        loss = criterion(outputs, labels)
        loss.backward()
        optimizer.step()

# 学習済みモデルを保存
torch.save(model.state_dict(), 'cat_dog_classifier.pth')
print("ファインチューニング完了!")

4. 実際にモデルを使う

  • 学習が終わったモデルを使い、スマホで撮った写真を入力すると、「これは猫です」「これは犬です」と判定してくれます。

ファインチューニングのメリット

  1. 時間がかからない:
    • ゼロから作るのではなく、基盤ができているので短期間で完成。
  2. 少ないデータでOK:
    • 猫と犬の写真がそれぞれ100枚程度あれば十分。
  3. 初心者でも試せる:
    • 必要な作業はモデルを再利用し、分類部分だけを調整すること。

まとめ

ファインチューニングは、すでに存在する賢いAIを少しだけ自分用にカスタマイズする方法です。この方法を使えば、少ないデータと簡単な調整で、猫と犬を判定する専用モデルを作ることができます!

Reinforcement Fine-Tuning—12 Days of OpenAI: Day 2 まとめ


OpenAIのO1モデルと強化学習によるファインチューニング

O1モデルの概要

  • OpenAIの最新モデル「O1」は、応答前に考える能力を持つ高度なAIモデル。
  • モデルは、正式リリースされ、近い将来APIでの利用も可能に。
  • ユーザーが自身のデータセットでカスタマイズできるプログラムが進化しており、より高精度なチューニングが可能。

強化学習によるファインチューニング

通常のファインチューニングとの違い

  • 通常の監督付きファインチューニングは与えられたデータに基づく学習。
  • 一方、強化学習ファインチューニングは、少数の例を基にモデルが新たな推論方法を学ぶ。
  • モデルが問題を解く際の「思考プロセス」を強化することで、正しい答えに辿り着く能力を向上。

主な利点

  • ゴールデンデータセットをユニークな価値のあるモデルに変換可能。
  • 法律、金融、工学など、専門分野での応用が期待されている。

実例と応用分野

  1. 法律分野:
    • Thomson Reutersとの提携により、O1 Miniが法務アシスタントとして利用され、専門家の業務効率を向上。
  2. 科学研究:
    • 遺伝性疾患の診断支援で期待される。
    • 例: Berkeley Labとの協力で、症状と遺伝子の関連性を解析するデータセットを構築。
  3. その他の応用:
    • 医療、AIセーフティ、バイオケムなど、多岐にわたる分野での利用可能性。

実演と結果

  • 小型モデル「O1 Mini」をファインチューニングし、大型モデルの性能を超える結果を実証。
  • トレーニングと評価プロセスで、正確性と効率性の向上が確認された。

今後の展望

  • 来年初めに「強化学習ファインチューニング」を公開予定。
  • 科学研究、産業応用のさらなる発展に寄与することが期待されている。

結び

O1モデルと強化学習ファインチューニングは、AIの可能性を広げ、より多くの課題解決に役立つツールとして進化を続けています。特に専門分野での活用において、その能力は大きな期待を集めています。

Llama ダウンロードページの解説

1. Llamaモデルとは

Llamaは、Meta社が提供する大規模言語モデル(LLM)で、さまざまな用途や要件に応じて使用可能です。

モデルは以下の種類に分かれています:

  • Pretrained(事前学習済みモデル)
    微調整やカスタマイズに最適な基本モデル。
  • Fine-tuned(微調整済みモデル)
    特定の目的(例:チャットや指示対応)に合わせて調整されたモデル。
  • Trust and Safety Models(信頼性・安全性に特化したモデル)
    セキュリティや倫理面での課題をサポートする特化型モデル。

2. ダウンロード手順

(1) Llama CLIのインストール

まず、Llama CLIをインストールします。以下のコマンドを実行してください:

pip install llama-stack

CLIが既にインストールされている場合は以下でアップデート:

pip install llama-stack -U

(2) モデルのリストを確認

利用可能なモデルを確認するには以下のコマンドを実行します:

llama model list

古いモデルも含めてすべてを表示するには:

llama model list --show-all

(3) モデルを選択してダウンロード

希望するモデルのIDを指定してダウンロードします:

llama model download --source meta --model-id MODEL_ID

スクリプト実行中に「カスタムURL」を求められた場合、提供されたURL(例:https://llama3-2-lightweight.llamameta.net/...)を入力します。

(4) ダウンロードURLの注意

URLは48時間有効で、各モデルは最大5回までダウンロード可能です。このURLはメールでも送信されるため、期限内に利用するようにしてください。


3. 提供されるモデル

モデルは用途やサイズ別に用意されています。

Pretrained(事前学習済みモデル)

  • Llama-3.2シリーズ
    サイズ:1B、3B、11B(Vision対応)、90B(Vision対応)
  • Llama-3.1シリーズ
    サイズ:70B、405B(大規模)

Fine-tuned(微調整済みモデル)

  • 特定の用途に合わせて最適化されたモデル。例:
    • Llama-3.2-3B-Instruct
    • Llama-3.1-8B-Instruct

Trust and Safety Models(信頼性モデル)

  • Llama Guardシリーズ
    セキュリティや倫理的問題への対応に特化。

4. 特別な405Bモデルについて

405Bモデルは非常に大規模で、使用には特別なリソースが必要です。

  • MP16(Model Parallel 16)
    BF16(半精度浮動小数点)の完全版で、複数ノードが必要(最低8GPUを2台)。
  • FP8(Floating Point 8)
    量子化版で、1ノード8GPUで動作可能。

405Bモデルはストレージ750GBを使用し、高性能なGPU環境が必要です。


5. 開発支援ツール

Code Shield

  • コード生成時のセキュリティリスクを軽減します。

Cybersecurity Eval

  • サイバーセキュリティ分野のベンチマークテストに対応します。

6. 使用上の注意

  1. 責任ある利用
    利用ガイドやライセンス条件に従って使用してください。
  2. フォーマットに注意
    Fine-tunedモデルでは適切なトークン形式を使用する必要があります。

Dockerの警告「bridge-nf-call-iptables is disabled」の解消方法【Ubuntu 22.04】

Dockerを利用していると、以下のような警告に遭遇することがあります。

WARNING: bridge-nf-call-iptables is disabled
WARNING: bridge-nf-call-ip6tables is disabled

これは、Linuxカーネルの設定で bridge-nf-call-iptablesbridge-nf-call-ip6tables が無効になっているために発生します。この設定が無効のままだと、Dockerネットワークのポリシーやルールが正しく動作しない場合があります。

この記事では、この警告を解消する手順を詳しく解説します。


原因

bridge-nf-call-iptablesbridge-nf-call-ip6tables は、ネットワークブリッジを通じてデータが流れる際に、カーネルが iptables(または ip6tables)ルールを適用するかどうかを制御する設定です。これが無効の場合、Dockerのネットワーク設定が期待通りに動作しない可能性があります。


解決手順

1. 必要なモジュールをロード

Dockerネットワークでブリッジ機能を使うには、br_netfilter モジュールがロードされている必要があります。

以下のコマンドでモジュールがロードされているか確認します。

lsmod | grep br_netfilter

モジュールがロードされていない場合は、以下を実行してロードしてください。

sudo modprobe br_netfilter

さらに、再起動後もモジュールをロードするように以下の設定を行います。

echo "br_netfilter" | sudo tee /etc/modules-load.d/br_netfilter.conf

2. 一時的にカーネルパラメータを有効化

以下のコマンドを実行して、bridge-nf-call-iptablesbridge-nf-call-ip6tables を有効にします。

sudo sysctl -w net.bridge.bridge-nf-call-iptables=1
sudo sysctl -w net.bridge.bridge-nf-call-ip6tables=1

現在の設定を確認するには以下を実行します。

sudo sysctl net.bridge.bridge-nf-call-iptables
sudo sysctl net.bridge.bridge-nf-call-ip6tables

両方の設定が 1 であれば一時的な設定は成功です。


3. 永続化のための設定

再起動後も有効になるように設定を永続化します。

  1. 設定ファイルの編集: /etc/sysctl.conf ファイルを開きます。 sudo nano /etc/sysctl.conf
  2. 以下の2行を追加: net.bridge.bridge-nf-call-iptables=1 net.bridge.bridge-nf-call-ip6tables=1
  3. 設定をリロード: sudo sysctl -p

4. Dockerデーモンの再起動

カーネル設定を反映させるため、Dockerを再起動します。

sudo systemctl restart docker

5. 動作確認

設定が正しく反映されたか確認します。

docker info | grep WARNING

警告が表示されなければ、設定は完了です。


補足

  • モジュールがロードされない場合: カーネルバージョンやセキュリティ設定によっては、モジュールが正しくロードされない場合があります。その場合は、dmesgjournalctl でエラーログを確認してください。
  • 最新のDocker環境で発生する場合: Ubuntu 22.04 では、セキュリティや構成の変化により、Dockerを使用する際に追加の設定が必要になることがあります。公式ドキュメントも随時確認してください。

まとめ

この手順を実行することで、Dockerのネットワーク設定に関する警告「bridge-nf-call-iptables is disabled」を解消できます。設定を適切に管理することで、コンテナ環境のネットワーク接続が正しく機能するようになります。

ZRAMは圧縮されたRAMディスクを作成し、スワップとして使用することで、物理メモリを節約できます。

ZRAMは、メモリの圧縮領域を利用して仮想的なスワップ領域を作成するLinuxカーネルの機能です。通常、スワップ領域はディスク上に作成されるため、アクセスが遅くなりがちですが、ZRAMでは圧縮データをメモリ上に保持するため、ディスクよりも高速にアクセスできるという特徴があります。

ZRAMの特徴と仕組み

  1. 圧縮メモリの利用:
  • ZRAMはデータを圧縮してメモリ上に保存するため、通常のメモリよりも少ないメモリで多くのデータを扱うことができます。たとえば、1GBのデータを圧縮して500MBにできれば、実際に使用するメモリは500MBのみとなり、効率が良くなります。
  1. 仮想スワップの高速化:
  • 一般的なスワップ領域はディスクに作成されるため、スワップアクセスはディスクの速度に依存し、遅くなりやすいのが欠点です。ZRAMはメモリ上にスワップ領域を作るため、アクセス速度が速くなります。ディスクのスワップが発生するよりもパフォーマンスが向上します。
  1. メモリの節約:
  • ZRAMが使われると、物理メモリの使用効率が向上し、少ない物理メモリでもより多くのデータやプロセスを扱うことができます。特にメモリが少ないシステム(Raspberry Piなどのシングルボードコンピュータ)で大きな効果を発揮します。

ZRAMの利点

  • 低メモリ環境での有効性: メモリが少ない環境でもパフォーマンスの向上が期待できるため、Raspberry Piのような低リソースのシステムで特に役立ちます。
  • ディスクの寿命延長: SDカードやSSDのスワップ使用が減るため、ディスクの寿命が延びる可能性があります。
  • 高速なデータアクセス: 圧縮したメモリ上でスワップを行うため、ディスクスワップに比べてアクセスが速いです。

ZRAMの設定方法

ZRAMの利用には通常、LinuxカーネルにZRAMモジュールをロードし、必要に応じてスワップ領域を設定します。ディストリビューションによっては、zram-toolsなどのパッケージが用意されているため、簡単に導入できます。

# ZRAMモジュールをロード
sudo modprobe zram
# ZRAMデバイスの作成と設定
echo lz4 > /sys/block/zram0/comp_algorithm  # 圧縮アルゴリズムを指定
echo 512M > /sys/block/zram0/disksize       # ZRAMのディスクサイズ設定
mkswap /dev/zram0                           # スワップ領域の設定
swapon /dev/zram0                           # スワップを有効化

以上のように、ZRAMはメモリを圧縮しつつ効率的に使う方法として、Raspberry Piやリソースが限られたシステムでのメモリ管理に非常に役立つ機能です。

Raspberry Piのスワップサイズを増やすには

Raspberry Piのスワップサイズを増やすには、以下の手順を実行します。

手順

  1. スワップファイルの設定ファイルを編集
   sudo nano /etc/dphys-swapfile
  1. CONF_SWAPSIZEを変更
    デフォルトではスワップサイズが設定されていないので、CONF_SWAPSIZEを設定します。例えば、スワップを2GBにしたい場合は以下のように変更します。
   CONF_SWAPSIZE=8192

CONF_SWAPSIZEはスワップのサイズをMB単位で指定します。

  1. スワップサービスの再起動
    設定を反映するために、スワップサービスを再起動します。
   sudo systemctl restart dphys-swapfile
  1. スワップサイズの確認
    正しく設定されたかを確認します。
   free -m

Swapのサイズが指定した値(上記の例では8192MB)になっていることを確認してください。

これで、Raspberry Piのスワップサイズが増えます。


8192MBにしたが2048MBになってしまった。

Raspberry Piのdphys-swapfileでは、設定によってもシステムの制限などで、指定したサイズが反映されない場合があります。このような場合には、直接スワップファイルを作成して、手動で設定する方法を試してみてください。

以下に手動で8GBのスワップファイルを作成する手順を説明します。

手順

  1. スワップファイルを無効にする
    現在のスワップを一旦無効にします。
   sudo dphys-swapfile swapoff
   sudo systemctl stop dphys-swapfile
  1. 新しいスワップファイルを作成
    8GB(8192MB)のスワップファイルを指定した場所に作成します。
   sudo fallocate -l 8G /swapfile

または、fallocateがサポートされていない場合は、ddコマンドでも作成できます。

   sudo dd if=/dev/zero of=/swapfile bs=1M count=8192
  1. スワップファイルのパーミッションを設定
    セキュリティのため、スワップファイルのアクセス権限を制限します。
   sudo chmod 600 /swapfile
  1. スワップファイルを有効化
    作成したファイルをスワップとして利用できるようにします。
   sudo mkswap /swapfile
   sudo swapon /swapfile
  1. スワップが有効になったか確認
    以下のコマンドでスワップサイズが8GBになっているか確認します。
   free -m
  1. 起動時にスワップを自動的に有効化する
    /etc/fstabにエントリを追加して、起動時にスワップが有効になるように設定します。
   echo '/swapfile none swap sw 0 0' | sudo tee -a /etc/fstab

これで、8GBのスワップが手動で設定されます。

Raspberry Pi 5 有線のIPアドレスを固定化

/etc/network/interfaces.d/ディレクトリにネットワーク設定ファイルを配置する方法は、Debian系ディストリビューションで伝統的に使用されてきました。しかし、近年のDebianやUbuntuのバージョンでは、ネットワーク管理ツールとしてnetplanNetworkManagerが採用されており、これらのツールでは/etc/network/interfacesやその関連ディレクトリの使用が推奨されなくなっています。

背景:

  • netplanの導入: Ubuntu 18.04以降では、ネットワーク設定の管理にnetplanが導入され、設定ファイルは通常/etc/netplan/ディレクトリ内に配置されます。
  • NetworkManagerの採用: デスクトップ環境を持つシステムや、最新のRaspberry Pi OSなどでは、NetworkManagerがネットワーク管理ツールとして採用されており、設定は/etc/NetworkManager/以下に保存されます。

現状:

Debian GNU/Linux 12 (bookworm)や最新のRaspberry Pi OSでは、/etc/network/interfaces/etc/network/interfaces.d/を直接編集する方法は非推奨となっており、代わりにnetplanNetworkManagerを使用してネットワーク設定を行うことが推奨されています。

推奨される対応:

  • netplanの使用: サーバー環境やnetplanが導入されているシステムでは、/etc/netplan/ディレクトリ内にYAML形式の設定ファイルを作成し、ネットワーク設定を行います。
  • NetworkManagerの使用: デスクトップ環境やNetworkManagerが採用されているシステムでは、nmcliコマンドやGUIツールを使用してネットワーク設定を行います。

参考情報:

  • Ubuntu 18.04以降での/etc/network/interfacesの非推奨についての詳細は、以下の記事をご参照ください。

以上のように、最新のシステムでは/etc/network/interfaces.d/を使用した設定は非推奨となっており、netplanNetworkManagerを使用した設定方法への移行が求められています。


Raspberry Pi 5でDebian GNU/Linux 12 (bookworm)を使用している場合、有線接続のIPアドレスを固定化するには、NetworkManagerを利用する方法が一般的です。以下に手順を説明します。

1. 接続設定ファイルの確認

まず、現在の有線接続設定が保存されているファイルを確認します。通常、/etc/NetworkManager/system-connections/ディレクトリ内に接続ごとの設定ファイルが存在します。以下のコマンドでディレクトリ内のファイルを一覧表示します。

ls /etc/NetworkManager/system-connections/

表示されたファイルの中から、目的の有線接続に対応するファイル名を確認してください。

2. 設定ファイルの編集

次に、該当する設定ファイルを編集します。ここでは、例としてwired_connection.nmconnectionというファイル名を使用します。

sudo nano /etc/NetworkManager/system-connections/wired_connection.nmconnection

[ipv4]セクションを以下のように修正します。

[ipv4]
method=manual
addresses=192.168.1.100/24
gateway=192.168.1.1
dns=8.8.8.8;8.8.4.4;
  • method=manual:IPアドレスを手動設定に変更します。
  • addresses:固定したいIPアドレスとサブネットマスクを指定します。例:192.168.1.100/24
  • gateway:デフォルトゲートウェイのIPアドレスを指定します。
  • dns:使用するDNSサーバーのIPアドレスをセミコロン(;)で区切って指定します。

3. ファイルの保存と権限設定

編集内容を保存し、ファイルの権限を適切に設定します。

sudo chmod 600 /etc/NetworkManager/system-connections/wired_connection.nmconnection

4. NetworkManagerの再起動

設定を反映させるため、NetworkManagerを再起動します。

sudo systemctl restart NetworkManager

5. 設定の確認

新しいIPアドレスが適用されているか確認します。

ip addr show

以上の手順で、有線接続のIPv4設定を固定IPアドレスに変更できます。

Raspberry Pi 5 Wi-FiのIPアドレスを固定化

Raspberry Pi 5でDebian GNU/Linux 12 (bookworm)を使用している場合、Wi-FiのIPアドレスを固定化するには、NetworkManagerを利用する方法が一般的です。以下に手順を説明します。

1. 接続設定ファイルの確認

まず、現在のWi-Fi接続設定が保存されているファイルを確認します。通常、/etc/NetworkManager/system-connections/ディレクトリ内に接続ごとの設定ファイルが存在します。以下のコマンドでディレクトリ内のファイルを一覧表示します。

ls /etc/NetworkManager/system-connections/

表示されたファイルの中から、目的のWi-Fi接続に対応するファイル名を確認してください。

2. 設定ファイルの編集

次に、該当する設定ファイルを編集します。ここでは、例としてpreconfigured.nmconnectionというファイル名を使用します。

sudo nano /etc/NetworkManager/system-connections/preconfigured.nmconnection

[ipv4]セクションを以下のように修正します。

[ipv4]
method=manual
addresses=192.168.1.100/24
gateway=192.168.1.1
dns=8.8.8.8;8.8.4.4;
  • method=manual:IPアドレスを手動設定に変更します。
  • addresses:固定したいIPアドレスとサブネットマスクを指定します。例:192.168.1.100/24
  • gateway:デフォルトゲートウェイのIPアドレスを指定します。
  • dns:使用するDNSサーバーのIPアドレスをセミコロン(;)で区切って指定します。

3. ファイルの保存と権限設定

編集内容を保存し、ファイルの権限を適切に設定します。

sudo chmod 600 /etc/NetworkManager/system-connections/preconfigured.nmconnection

4. NetworkManagerの再起動

設定を反映させるため、NetworkManagerを再起動します。

sudo systemctl restart NetworkManager

5. 設定の確認

新しいIPアドレスが適用されているか確認します。

ip addr show

以上の手順で、Wi-Fi接続のIPv4設定を固定IPアドレスに変更できます。