インテルとAMDの競争と協力の歴史
インテル(Intel)とAMD(Advanced Micro Devices)は、長年にわたりCPU市場で激しい競争を繰り広げてきましたが、同時に特許や技術に関するライセンス契約を結び、協力関係も維持してきました。この関係は、技術革新と市場競争の両面で重要な役割を果たしています。
競争の始まり
- 1968年: インテルが設立され、x86アーキテクチャの基礎を築きました。
- 1969年: AMDが設立され、インテルのセカンドソース(代替供給元)としてx86プロセッサの製造を開始しました。
- 1982年: インテルとAMDは技術交換契約を締結し、AMDがx86アーキテクチャを使用する権利を得ました。
法廷闘争と和解
- 1990年代: インテルが独占的な市場戦略を採用したとして、AMDが複数回提訴。これにより、AMDは独自のプロセッサ設計を進める権利を確保しました。
- 2009年: 両社は特許や独占禁止法に関する争いを和解し、インテルがAMDに12億5000万ドルを支払うとともに、新たなクロスライセンス契約を締結しました。
64ビットCPU技術の進化
AMDの貢献
- 2003年: AMDは「x86-64」(後に「AMD64」と命名)を発表し、64ビットアーキテクチャを市場に導入しました。この技術は、既存の32ビットx86アーキテクチャとの互換性を維持しながら、64ビットの性能を提供するものでした。
- OpteronとAthlon 64プロセッサは、サーバー市場やハイエンドPC市場で成功を収め、AMDの技術的優位性を示しました。
インテルの対応
- インテルは当初、独自の64ビットアーキテクチャ「IA-64」(Itanium)を推進しましたが、これは市場で成功を収めることができませんでした。
- AMD64の成功を受け、インテルは2004年にAMD64互換の64ビット技術「Intel 64」(当初はEM64Tと呼ばれた)を採用しました。
ライセンス契約と特許の共有
クロスライセンス契約
- インテルとAMDは、1976年以降、特許や技術に関するクロスライセンス契約を結んでいます。この契約により、両社は互いの技術を使用する権利を持ち、特定の技術に対して直接的なライセンス料を支払う必要がない場合があります。
- ただし、契約の詳細は非公開であり、具体的な金銭のやり取りについては明確ではありません。
AMD64技術に関するライセンス
- インテルはAMD64技術を採用しているため、AMDに対して何らかの形で対価を支払っている可能性があります。ただし、クロスライセンス契約の一環として、直接的なライセンス料が発生していない可能性もあります。
結論
インテルとAMDの関係は、競争と協力が複雑に絡み合ったものです。AMDは64ビットCPU技術の普及において重要な役割を果たし、インテルもその技術を採用することで市場のニーズに応えました。また、両社はクロスライセンス契約を通じて特許や技術を共有し、互いの競争力を高めています。この関係は、CPU市場の進化と技術革新を支える重要な要素となっています。