QNAPの「ポートトランキング(Port Trunking)」について説明します。
ポートトランキングとは?
ポートトランキングとは、複数のネットワークポートを1つの論理的なリンクに束ねる技術のことです。この技術を使用することで、ネットワークの帯域幅を増加させたり、冗長性を確保したりすることができます。QNAP NASには複数のネットワークポートが搭載されており、それらをトランキングすることで、以下のような利点が得られます。
- 帯域幅の向上:
複数のネットワークケーブルを束ねることで、個々のポートの速度を合計した帯域幅を実現できます。例えば、1Gbpsのポートが2つある場合、ポートトランキングを使って2Gbpsの帯域を得ることが可能です。 - 冗長性の確保:
ポートトランキングを使用することで、いずれかのネットワークケーブルが切断されたり、ネットワーク機器に障害が発生した場合でも、残りのケーブルを通じて通信を続行することができます。これにより、ネットワークの可用性が向上します。
QNAPにおけるポートトランキングの使用例
- データ転送速度の向上: 例えば、複数のクライアントがQNAP NASにアクセスする場合、帯域幅が増加するため、大容量のデータ転送を効率的に行えます。
- 高可用性の確保: 冗長構成としても利用できるため、障害が発生しても通信を維持することが可能です。特に業務用環境でNASを利用する場合、信頼性が重要となるので、この冗長性は非常に役立ちます。
ポートトランキングのモード
QNAPのポートトランキングにはいくつかの異なるモードがあり、用途に応じて適切なモードを選ぶことができます。
- バランス-rr (ラウンドロビン):
- パケットを順次すべてのポートに均等に送信します。
- 帯域幅を効率的に活用しますが、スイッチ側での特別な設定が必要です。
- アクティブ-バックアップ:
- 1つのポートがアクティブで、もう1つは待機状態になります。アクティブなポートが障害を起こした場合にのみ待機ポートがアクティブになります。
- スイッチ側での特別な設定は不要です。
- バランス-XOR:
- ソースMACアドレスとデスティネーションMACアドレスに基づいてポートを選択します。帯域幅を増やし、スイッチ側でのサポートが必要です。
- IEEE 802.3ad (LACP):
- リンクアグリゲーションコントロールプロトコル(LACP)を利用して、ポートを動的に束ねる方式です。
- スイッチ側でLACPのサポートと設定が必要です。
- バランス-tlb (送信負荷分散):
- 送信トラフィックを負荷分散しますが、受信トラフィックは1つのポートのみで受け取ります。
- スイッチ側での設定は不要です。
- バランス-alb (アダプティブ負荷分散):
- 送信トラフィックと一部の受信トラフィックを動的に負荷分散します。
- スイッチ側での設定は不要です。
ポートトランキングの設定方法
- QNAP管理画面にログイン:
QNAPのWeb管理画面にログインし、設定を開始します。 - 「ネットワークと仮想スイッチ」設定に移動:
メニューから「ネットワークと仮想スイッチ」セクションに移動します。 - ポートトランキングの作成:
利用したいネットワークポートを選択し、「ポートトランキング」を作成します。ここで使用するトランキングモードを選びます(例えば、LACPを使用する場合は、スイッチ側での設定も確認します)。 - 設定の適用:
設定を適用し、QNAPのネットワークが冗長化され、または帯域幅が増加していることを確認します。
ポートトランキングを有効にすることで、QNAP NASのネットワーク接続はより高速かつ信頼性の高いものとなり、特に複数のクライアントや大容量のデータを扱う環境で大いに役立ちます。