QNAPでディスクのS.M.A.R.T.情報を取得するためにqcli_hdd
コマンドを使用する際、まず認証が必要になります。この認証を行い、S.M.A.R.T.情報を取得する方法についてまとめます。
1. QNAPにSSHでログイン
まず、SSHを使ってQNAPにログインします。通常、QNAPの管理者アカウントを使用してログインします。
ssh admin@<QNAPのIPアドレス>
2. 認証のためのログインセッションIDを取得
qcli_hdd
コマンドを使用する前に、qcli
コマンドでログインを行い、セッションID(sid
)を取得する必要があります。
qcli -l user=admin pw=<パスワード> saveauthsid=yes
user=admin
: 管理者ユーザー名を指定します。pw=<パスワード>
: QNAP管理者のパスワードを指定します。saveauthsid=yes
: 認証を保存し、以後のコマンドでセッションIDを使う必要がないようにします。
3. qcli_hdd
コマンドでディスクのS.M.A.R.T.情報を確認
QNAPにはqcli_hdd
というユーティリティが用意されており、このコマンドを使って各ディスクのS.M.A.R.T.情報を確認できます。
a. ディスク一覧を取得する
まず、QNAPに接続されているディスクのリストを取得します。これにより、各ディスクのdiskID
を確認できます。
qcli_hdd -D enclosureID=0
このコマンドで、エンクロージャ0
に属するすべてのディスクの情報が表示され、各ディスクのdiskID
が確認できます。
b. 各ディスクのS.M.A.R.T.情報を取得
ディスクのdiskID
が確認できたら、そのdiskID
を使って各ディスクのS.M.A.R.T.情報を取得します。
qcli_hdd -m diskID=<diskID>
例として、diskID
が00000003
の場合:
qcli_hdd -m diskID=00000003
このコマンドを実行することで、選択したディスクのS.M.A.R.T.属性(温度、エラーレート、通電時間、不良セクタの有無など)を取得できます。
4. 各属性の見方
Raw_Read_Error_Rate
: ディスクの読み取りエラーの発生率。Power-On_Hours
: ディスクの累積通電時間。長期間使用しているディスクは劣化の可能性があるため、注意深く監視する必要があります。Temperature_Celsius
: ディスクの温度。高温が続くと寿命に影響が出るので、冷却対策が必要です(40℃以下が推奨されます)。Reallocated_Event_Count
とCurrent_Pending_Sector
: 再割り当てが発生したセクタ数や、不良セクタの有無。これらが増加しているとディスクの劣化が進行している可能性があります。
5. 注意点
- 温度管理: 一部のディスクの温度が高めの場合、冷却ファンやエアフローを改善し、温度を下げることを検討してください。
- バックアップ: ディスクに不良セクタが見つかった場合や、長期間稼働している場合は、データのバックアップを取ることが非常に重要です。
まとめ
- SSHでQNAPにログインする。
qcli -l user=admin pw=<パスワード> saveauthsid=yes
でログインセッションを保存する。qcli_hdd -D enclosureID=0
コマンドでディスクのリストを取得する。qcli_hdd -m diskID=<diskID>
コマンドで、各ディスクのS.M.A.R.T.情報を取得する。- 各属性をチェックし、特に温度や不良セクタの有無に注意する。
この方法を定期的に行い、QNAPのディスクの健康状態を把握することで、トラブルを未然に防ぎ、システムの安定性を保つことができます。