adduser と useradd の違い

adduser と useradd の主な違いを説明します:

adduser(推奨):

  • Perlで書かれたインタラクティブなスクリプト
  • Debian/Ubuntuのフレンドリーなコマンド
  • 以下を自動的に実行:
  • ホームディレクトリの作成
  • /etc/skelからの基本ファイルのコピー
  • パスワード設定の促し
  • ユーザー情報(フルネームなど)の入力プロンプト
  • グループの自動設定
sudo adduser 新しいユーザー名

useradd:

  • 低レベルのシステムコマンド
  • 自動設定が最小限
  • オプションを明示的に指定する必要がある
  • デフォルトでは以下を実行しない:
  • ホームディレクトリの作成(-m オプションが必要)
  • パスワードの設定(別途passwdコマンドが必要)
  • 基本的な設定ファイルのコピー
# 基本的な使用例
sudo useradd -m -s /bin/bash 新しいユーザー名
sudo passwd 新しいユーザー名

# よく使うオプション
-m: ホームディレクトリ作成
-s: デフォルトシェル指定
-G: 追加グループ指定

推奨:

  • 通常のユーザー作成 → adduser を使用
  • スクリプトでの自動化や特殊な設定が必要な場合 → useradd を使用

本番環境向けDockerfile設定ガイド:Laravelプロジェクトの依存関係管理とパフォーマンス最適化

パフォーマンスとセキュリティを考慮したデプロイ環境に最適な設定になります。

RUN yarn install --frozen-lockfile --production --no-progress --no-optional && \
    yarn cache clean
RUN composer install --no-interaction --optimize-autoloader --no-dev --prefer-dist --no-scripts && \
    composer dump-autoload --optimize --no-dev --classmap-authoritative

各コマンドの詳細

  • yarn install --frozen-lockfile --production --no-progress --no-optional:
  • --frozen-lockfile: 依存関係を正確に固定します。
  • --production: 本番環境用の依存関係のみインストールします。
  • --no-progress: インストール進行状況の表示を省略し、ビルドを少し軽量化します。
  • --no-optional: 任意の依存関係を除外し、本番に必要な最小限のセットをインストールします。
  • yarn cache clean: インストール後にキャッシュをクリアして、コンテナのサイズを削減します。
  • composer install --no-interaction --optimize-autoloader --no-dev --prefer-dist --no-scripts:
  • --no-interaction: 自動的にすべてのプロンプトに応答し、無人インストールに適しています。
  • --optimize-autoloader: クラスマップの事前生成でオートロードを最適化します。
  • --no-dev: 開発依存関係をインストールしません。
  • --prefer-dist: 圧縮ファイルからインストールし、ビルド時間を短縮します。
  • --no-scripts: スクリプトの実行を防止します。
  • composer dump-autoload --optimize --no-dev --classmap-authoritative:
  • 本番環境でのオートロード最適化を最大限に活用し、クラスマップだけを利用する構成になります。

まとめ

このコマンドセットでプロダクション環境の依存関係を最適にインストールし、不要なファイルやキャッシュを省くことができ、コンテナのサイズが小さくなり、パフォーマンスも向上します。

Laravel 8.0以前のマイグレーション

Laravel 8.0以前のバージョンでは、マイグレーションを実行した際にマイグレーションが何もない場合、終了コード1が返されていました。これは、何らかのエラーが発生したと誤解されることがあったため、開発者にとって不便でした。

Laravel 8.0以降では、この挙動が改善され、マイグレーションがない場合には正常に終了し、終了コード0を返すようになりました。これにより、スクリプトやCI/CDパイプラインでの処理がより直感的になりました。

php artisan migrate --force
echo $?

umask=22がパーミッション755になる理由

umask=22がパーミッション755になる理由は、実は「計算式」が存在します。この計算により、umaskの値からファイルやディレクトリのパーミッションが導かれます。

umaskの基本的な仕組み

まず、umaskはファイルやディレクトリの「パーミッションをマスク(除外)」する役割を持ち、デフォルトのパーミッションからumaskのビットで指定された部分を取り除いたものが最終的なパーミッションになります。

デフォルトのパーミッション

  • ファイルのデフォルトパーミッションは666です(読み書き可能)。
  • ディレクトリのデフォルトパーミッションは777です(読み書き実行可能)。

umaskの計算方法

umaskの値は、「削除する」パーミッションを表しており、666または777からumaskの値を引いた結果が、最終的なパーミッションになります。

実際の計算例

ディレクトリのパーミッションの計算

  1. ディレクトリのデフォルトのパーミッションは777です。
  2. ここからumaskの22を引きます。計算式は次のようになります:
   777 - 022 = 755
  • 7 - 0 = 7(所有者のパーミッションはrwx
  • 7 - 2 = 5(グループのパーミッションはr-x
  • 7 - 2 = 5(その他のパーミッションはr-x
  1. したがって、ディレクトリのパーミッションは755rwxr-xr-x)になります。

ファイルのパーミッションの計算

  1. ファイルのデフォルトのパーミッションは666です。
  2. ここからumaskの22を引きます。計算式は次のようになります:
   666 - 022 = 644
  • 6 - 0 = 6(所有者のパーミッションはrw-
  • 6 - 2 = 4(グループのパーミッションはr--
  • 6 - 2 = 4(その他のパーミッションはr--
  1. したがって、ファイルのパーミッションは644rw-r--r--)になります。

まとめ

umaskの計算は、「デフォルトパーミッション」から「umaskで指定したビット」を引くことで決定されます。umaskの各桁が0でなければ、それに応じたパーミッションがマスクされ、最終的なパーミッションが決まります。

GoogleのOAuthアプリケーションを本番モードに切り替えた際に送られてきた自動応答メール

具体的には、アプリケーションのレビューを開始する前に、いくつかの点を確認する必要があるという内容です。以下に、メールのポイントを日本語で解説します。

要点:

  1. Google Fit APIを使用している場合
    Google Fit APIは2024年5月1日から廃止されるため、これを使用しているアプリケーションは新たな確認プロセスに進むことができません。Fit APIを使っていない場合は問題ありません。
  2. 個人使用のみのアプリケーション
    アプリが個人的に使用され、他の人と共有されない場合、またはユーザー数が100人未満である場合は、確認プロセスは必要ありません。未確認アプリの警告を無視して続行できるので、パブリッシュ状態を「テスト」にして、そのまま使用することが推奨されています。
  3. 内部使用のみのアプリケーション
    会社内や自分のドメイン内でのみ使用されるアプリの場合は、「内部専用アプリ」としてマークすることで確認が不要になります。メール内のリンクを参照して、内部アプリとして設定する方法が案内されています。
  4. 開発/テスト/ステージング用のアプリケーション
    アプリがまだ開発中、テスト中、またはステージング環境にある場合は、確認を必要としません。ただし、テストモードでのまま使用することが推奨され、アプリが公開可能な状態になってから本番に移行するべきです。
  5. WordPress用Gmail SMTPプラグイン
    WordPressサイトの管理者のみが使用するGmail SMTPプラグインの場合、確認は不要です。この場合も、テストモードに設定してそのまま利用することが推奨されています。

重要な注意点:

  • アプリの公開状態(テスト、本番)や可視性(内部、外部)を頻繁に変更すると、確認プロセスに遅延が発生する可能性があるため、必要以上の変更は避けた方が良いとされています。

次のステップ:

このメールに返信し、アプリが上記の条件に該当しないことを確認する必要があります。確認が終わると、Googleがアプリのレビューを開始し、必要な場合はさらに連絡が来るという流れになります。

要するに:
Google Fit APIや個人的、内部的、テスト段階でのアプリでないことを確認した上で、メールに返信してレビューの開始を求めるという手順です。

Google Fit APIとは?

Google Fit APIは、Googleが提供する健康およびフィットネス関連のデータを管理・追跡するためのAPIです。このAPIを使うと、アプリケーションやデバイスがユーザーの身体活動、運動、心拍数、睡眠などのフィットネスデータを取得・記録できるようになります。

主な機能:

  1. 活動データの追跡
    歩数や消費カロリー、移動距離、アクティブな時間など、ユーザーの身体活動に関するデータを記録し、追跡します。
  2. 健康データの管理
    心拍数、体重、血圧、血糖値などの健康に関するデータを保存し、他のアプリと共有することが可能です。
  3. センサーとの連携
    スマートウォッチやフィットネストラッカーなどのデバイスと連携し、リアルタイムでのデータ収集やモニタリングが可能です。
  4. クラウド同期
    収集したデータはGoogle Fitのクラウドサービスに保存され、ユーザーのGoogleアカウントに同期されます。これにより、複数のデバイスからデータにアクセスすることができます。

使われる場面:

  • フィットネスアプリ(ランニング、サイクリングなどの運動アプリ)
  • 健康管理アプリ(体重、食事、睡眠、心拍数の管理など)
  • ウェアラブルデバイス(スマートウォッチやフィットネストラッカー)と連携した健康データの記録

終了予定:

Googleは2024年5月1日からGoogle Fit APIの新規確認リクエストを受け付けないと発表しています。つまり、新たにGoogle Fit APIを使いたいアプリはこの日以降、Googleの確認を受けることができなくなるということです。

Google Fit APIの機能が停止するわけではありませんが、新しいアプリの登録や、APIスコープの使用に関する承認が得られなくなるため、今後の使用に制限がかかる可能性があります。

QNAP RAIDのリビルド状況の確認方法と、リビルド速度の変更方法

RAIDのリビルド状況の確認方法

1. SSHでQNAPに接続

  • SSHクライアント(例:PuTTY、Terminal)を使用し、管理者アカウントでQNAPにログインします。

2. リビルドの進行状況を確認

  • 以下のコマンドを実行して、RAIDの状態とリビルドの進行状況を確認します。
  cat /proc/mdstat
  • 出力例:
  [~] # cat /proc/mdstat
  md1 : active raid5 sda3[0] sdb3[1] sdc3[2]
        585583680 blocks super 1.2 level 5, 64k chunk, algorithm 2 [3/3] [UUU]
        [===>.................]  resync = 20.0% (117116736/585583680) finish=50.0min speed=195000K/sec
  • resync 部分でリビルドの進行状況と速度が確認できます。

3. RAIDアレイの詳細情報を確認(オプション)

  • 特定のRAIDアレイの詳細情報を確認するには、以下のコマンドを使用します。
  mdadm --detail /dev/md1
  • /dev/md1 は対象のRAIDデバイス名に置き換えてください。

RAIDのリビルド速度の変更方法

リビルド速度は、システム全体または特定のRAIDアレイごとに設定できます。

方法1: システム全体のリビルド速度を変更

1. 現在の設定を確認

cat /proc/sys/dev/raid/speed_limit_min
cat /proc/sys/dev/raid/speed_limit_max
  • speed_limit_min: リビルドの最小速度(KB/秒)
  • speed_limit_max: リビルドの最大速度(KB/秒)

2. リビルド速度を設定

  • リビルド速度の最小値を増やすことで、速度を向上させます。
  echo 100000 > /proc/sys/dev/raid/speed_limit_min
  • 上記では、最小速度を100,000 KB/秒(約100 MB/秒)に設定しています。
  • 必要に応じて最大値も設定できます。
  echo 10000000 > /proc/sys/dev/raid/speed_limit_max

3. 設定が適用されたか確認

cat /proc/sys/dev/raid/speed_limit_min
cat /proc/sys/dev/raid/speed_limit_max

方法2: 特定のRAIDアレイのリビルド速度を変更

1. 現在の設定を確認

cat /sys/block/md1/md/sync_speed_min
cat /sys/block/md1/md/sync_speed_max
  • /sys/block/md1/md/ は対象のRAIDデバイスに置き換えてください。

2. リビルド速度を設定

  • 特定のRAIDアレイのリビルド速度を設定します。
  echo 200000 > /sys/block/md1/md/sync_speed_min
  • 上記では、md1 の最小速度を200,000 KB/秒(約200 MB/秒)に設定しています。
  • 最大速度を設定する場合:
  echo 10000000 > /sys/block/md1/md/sync_speed_max

3. 設定が適用されたか確認

cat /sys/block/md1/md/sync_speed_min
cat /sys/block/md1/md/sync_speed_max

注意事項

  • システム負荷に注意: リビルド速度を上げると、CPUやディスクI/Oの負荷が増加します。他のサービスへの影響を考慮して設定してください。
  • 設定の永続化: 再起動後も設定を維持するには、起動スクリプトに設定コマンドを追加する必要があります。ただし、QNAPのシステムでは再起動やファームウェア更新で設定がリセットされる可能性があります。
  • 例: echo "echo 100000 > /proc/sys/dev/raid/speed_limit_min" >> /etc/rc.local echo "echo 200000 > /sys/block/md1/md/sync_speed_min" >> /etc/rc.local
  • システムのパフォーマンスを監視: topiostat コマンドでシステムの負荷を監視し、必要に応じてリビルド速度を調整してください。
  • ディスクの健康状態を確認: smartctl コマンドでディスクのS.M.A.R.T情報を確認し、問題がないかチェックしてください。

これらの手順で、RAIDのリビルド状況を確認し、リビルド速度を調整することができます。システムの状態を適宜確認しながら、安全に作業を進めてください。

NginxのDHパラメータ(Diffie-Hellman parameters)

DHパラメータ(Diffie-Hellman parameters)は、全サイト共通で使用しても問題ありません。実際、以下の理由から、共通のDHパラメータファイルを使用することが推奨されます:

  1. セキュリティ:
    適切に生成された強力なDHパラメータは、すべてのサイトに対して同じレベルのセキュリティを提供します。
  2. 効率性:
    DHパラメータの生成は計算コストが高く、時間がかかります。サイトごとに生成する必要はありません。
  3. 管理の容易さ:
    1つのファイルを管理する方が、複数のファイルを管理するよりも簡単です。更新や rotationが必要な場合も、1か所で行えば済みます。
  4. リソース効率:
    共通のDHパラメータを使用することで、メモリ使用量を削減できます。
  5. 標準的な慣行:
    多くの組織やサーバー設定で、共通のDHパラメータファイルを使用することが一般的です。

ただし、以下の点に注意してください:

  • DHパラメータは定期的に更新することが推奨されます(例:年に1回程度)。
  • 十分に強力なDHパラメータを使用してください(少なくとも2048ビット、できれば4096ビット)。
  • DHパラメータファイルは安全に保管し、適切なアクセス権限を設定してください。

DHパラメータの生成例:

openssl dhparam -out /etc/nginx/ssl/dhparam.pem 4096

この設定方法(全サイト共通のDHパラメータ)は、セキュリティと効率性のバランスが取れた良い選択肢です。サイトごとに個別のDHパラメータを生成する必要はありません。

そもそもDHパラメータとは

DHパラメータ(Diffie-Hellmanパラメータ)は、インターネット上での安全な会話を実現するための特別な数字の組み合わせだと考えてください。

日常生活での例えで説明すると:

  1. 秘密の暗号を作る:
    二人の友達が、他の人に聞かれたくない秘密の会話をしたいとします。でも、最初に会って暗号を決める機会がありません。
  2. 公開の場での鍵交換:
    DHパラメータは、二人が公開の場(インターネットのように誰でも見ることができる場所)で会話しながら、秘密の暗号を作り出す方法を提供します。
  3. 魔法のような数学:
    複雑な数学を使って、二人だけが知る秘密の数字を作り出します。周りの人には、その過程を見ていても最終的な秘密の数字はわかりません。
  4. 鍵の生成:
    この秘密の数字を使って、実際の会話を暗号化する鍵を作ります。
  5. 安全性の確保:
    DHパラメータを使うことで、たとえ誰かが会話を盗み聞きしようとしても、内容を理解することはできません。
  6. 毎回新しい鍵:
    さらに、DHパラメータを使うと、会話のたびに新しい秘密の暗号を作ることができます。これにより、もし一つの会話が漏れても、他の会話は安全なままです。

つまり、DHパラメータは、インターネット上で知らない人と安全に秘密の会話をするための、とても賢い方法を提供する特別な数字のセットです。これにより、オンラインショッピングやインターネットバンキングなどの重要な情報のやり取りを、安心して行うことができるのです。

JITコンパイラとは?

JITコンパイラ(Just-In-Time Compiler)は、プログラムの実行中にコードを動的にコンパイルする技術です。通常のコンパイラは、プログラムのソースコードを実行前に全てコンパイルしてから実行しますが、JITコンパイラは実行時に必要な部分だけをコンパイルして、すぐに実行します。

JITコンパイラの特徴:

  1. パフォーマンス向上: 実行中に最適化を行うため、動作中のプログラムに合わせた最適化ができ、高速な実行が可能です。
  2. 柔軟性: 実行時に動的にコンパイルを行うため、動的言語(例:JavaScriptやPython)や仮想マシン上で動作する言語(例:Java、C#)でよく使用されます。
  3. 適応的最適化: プログラムの実行状況に応じて最適化を行い、効率の良いバイトコードへの変換が可能です。

JavaのJVMやJavaScriptエンジン(V8など)で採用されている代表的な技術であり、プログラムの実行速度を向上させる重要な手法となっています。

仮想マシンとは?

仮想マシン(Virtual Machine、VM)とは、物理的なハードウェア上で動作するソフトウェアによって仮想的に作られたコンピュータのことです。仮想マシンは、物理的なコンピュータ(ホスト)の上で動作し、独立したオペレーティングシステム(ゲストOS)を実行できます。

仮想マシンの特徴:

  1. 仮想化技術: ハードウェアリソース(CPU、メモリ、ディスク、ネットワーク)をソフトウェアで仮想化し、複数の仮想マシンが1台の物理コンピュータで動作できるようにします。
  2. 独立性: 仮想マシンは独立しているため、1つの仮想マシンで発生した問題が他の仮想マシンやホストに影響を与えにくいです。
  3. リソース分割: CPUやメモリ、ストレージなどのハードウェア資源を複数の仮想マシンで共有することが可能です。これにより、1台の物理マシンで効率的に複数のシステムやアプリケーションを運用できます。

仮想マシンには2つの主要なタイプがあります:

  1. プロセス仮想マシン: 特定のプログラムを実行するために仮想環境を提供します。例えば、JavaのJVM(Java Virtual Machine)はJavaアプリケーションを実行するためのプロセス仮想マシンです。
  2. システム仮想マシン: 1つの物理コンピュータ上で、複数の仮想コンピュータを完全に実行できる環境を提供します。例えば、VMwareやVirtualBoxなどの仮想化ソフトウェアで実現されるタイプです。

つまり...

JITコンパイラはプロセス仮想マシンの一種であると考えることができます。プロセス仮想マシンは、特定のプログラムやプロセスを実行するための仮想化環境を提供します。JITコンパイラは、たとえばJavaやC#のランタイム環境(それぞれJVMや.NET CLR)などで、バイトコードを実行時にネイティブコードにコンパイルして、効率的に実行する仕組みを提供します。

JavaのJVM(Java Virtual Machine)やC#のCLR(Common Language Runtime)は、仮想マシン上でバイトコード(中間コード)を実行しますが、この仮想マシンがまさにプロセス仮想マシンの一例です。そして、JITコンパイラは、これらの仮想マシンの一部として、バイトコードを実行時にネイティブコードに変換する役割を果たしています。

したがって、JITコンパイラはプロセス仮想マシンの重要なコンポーネントであり、仮想マシン内でプログラムを効率よく動作させるための技術です。

PHPにもJITコンパイラ

PHPにもJITコンパイラが導入されています。PHP 8.0からJIT(Just-In-Time)コンパイラが正式に導入されました。

これにより、PHPのコード実行時にバイトコードを動的にネイティブコードにコンパイルし、パフォーマンスの向上が期待されます。PHPのJITコンパイラは、通常のインタープリタ型の実行とは異なり、繰り返し実行されるコードやCPU集約型の処理を高速化することが可能です。

PHPにおけるJITの特徴:

  1. パフォーマンス向上:
  • 特にCPU依存の重い処理(例: 数値計算や画像処理など)において大幅なパフォーマンスの向上が期待されます。ただし、通常のWebアプリケーションではJITの恩恵はそこまで大きくない場合もあります。
  1. オプションで有効化:
  • JITはPHPのデフォルトでは無効になっていますが、php.iniファイルで設定を変更することで有効化できます。
  • 有効化するには、例えば以下のような設定を追加します:
    ini opcache.enable=1 opcache.jit_buffer_size=100M opcache.jit=tracing
    jit_buffer_sizeはJITに使用するメモリ量を設定し、opcache.jitでどのJITモードを使用するか指定します(例: tracingfunctionなど)。
  1. PHPオペコードキャッシュと連携:
  • JITコンパイラは、PHPのOPcache(オペコードキャッシュ)の一部として機能します。PHPコードを解析して生成されるオペコードが、JITによってネイティブコードにコンパイルされます。

JITの導入による影響:

  • CPU集約型のアプリケーション: 画像処理やデータ解析などの計算リソースが多く必要なアプリケーションでは、PHP JITの導入によってパフォーマンス向上が期待できます。
  • Webアプリケーション: 一般的なWebアプリケーションでは、レスポンス速度の改善はそれほど顕著ではないかもしれませんが、特定のシナリオで高速化が可能です。

PHP 8.0でのJITコンパイラの導入は、言語自体の性能を底上げする試みとして注目されていますが、用途によって効果が異なるため、実際のアプリケーションでどの程度の改善が見られるかは、ケースバイケースです。