【ブルマの歴史と背景】

1. 起源と日本への導入
ブルマは、19世紀の欧米で女性の自由な動きを実現するために考案された服装であり、女性解放運動家アメリア・ブルーマーにそのルーツがあるとされています。日本では、明治以降、女子体操教育の必要性が高まる中、東京女子高等師範学校の井口阿くり教授が欧米で実際に着用されているブルマに着目し、体操着として導入されたのが始まりです。

2. 機能性と普及
従来の袴や着流しに比べ、ブルマは動きやすさや実用性に優れており、下着が露出しにくいデザインで衛生面や生理時の配慮もされていました。1960年代、特に東京オリンピックの影響も受け、密着型ブルマが急速に普及し、多くの学校で採用される体操着として定着しました。

3. 性別に基づく服装規定
当時の教育現場では、男女で運動内容や服装に差が設けられていました。女子は女性らしさを保ちつつ、運動中も自由に動けるブルマを、男子は短パンを着用するという性別に応じた制服が採用され、社会的・文化的背景と合致したものでした。

4. 廃止に至る背景
1990年代以降、ブルマは性的フェティシズムの対象となったり、プライバシーへの懸念が高まったこと、また男女共通の体育着（ハーフパンツ等）への移行が進んだことから、次第に廃止される流れとなりました。

まとめ
女子の体操着としてブルマが採用された背景には、欧米発祥の実用的な運動服としての起源、井口教授による導入、動きやすさと衛生面の優位性、さらには当時の性別に基づく服装規定が大きく影響しています。その後、社会情勢や安全面への配慮の変化に伴い、ブルマは徐々に姿を消し、現代では男女共通の体操着へと移行していったのです。