GPT-4.1 in the API:新モデルのポイント総まとめ

OpenAIが「GPT-4.1」というアップデートを発表しました。既存のGPT-4(通称GPT-4.0またはGPT-4o)を大幅に改良した次世代モデルで、API経由の利用に特化しています。膨大なコンテキスト処理やコーディング能力の向上、新APIによるエージェント機能の強化など、その内容をざっくりまとめると以下のようになります。

1. GPT-4.1モデルの大きな特徴

(1) 100万トークンまで扱える

  • GPT-4.1では「膨大な長さの入力を一度に読み込む」能力が飛躍的に向上しました。
  • 従来のGPT-4は最大128Kトークン(それでも十分大きい)でしたが、GPT-4.1はさらに拡張され、一度に最大100万トークンもの文脈を保持できます。
  • 大量の文書やコードベースを事前に読み込ませ、そのうえで検索・要約・分析させる用途が格段にやりやすくなりました。

(2) コーディング性能の向上

  • OpenAIが内部ベンチマーク(SWE-Bench等)で測定したところ、GPT-4.1はコード生成・修正タスクの完遂率がGPT-4を大幅に上回る結果が出ています。
  • 特にReactやフロントエンド開発、複数ファイルにわたるバグ修正など、実務的なレベルで「ほぼ完成」に近いコードを生成できるケースが増えています。
  • 「必要な箇所だけ差分修正する」といった、無駄の少ない提案も得意になり、開発者の生産性向上が期待されています。

(3) 指示遵守と対話の安定感

  • GPT-4.1は「ユーザが求めるフォーマットや内容」を忠実に守る傾向が高まりました。
  • システムメッセージやプロンプトで明示的に指定したレイアウト・口調・分量などをきちんと反映してくれるため、不要な脱線や不正確な応答が減少しています。
  • 一方で「曖昧な指示を自動で汲み取ってくれる」という場面はやや減ったため、より具体的なプロンプト設計が大事になってきます。

(4) マルチモーダルの強化

  • GPT-4.1は画像や動画まで含めた理解・分析がさらに強化されています。
  • 例えばチャートや地図を読み取る問題、動画の内容を要約する問題など、GPT-4.0より精度が上昇したベンチマーク結果が報告されています。

(5) 応答速度と軽量モデル

  • 大規模モデルでありながら、推論効率の最適化が進んでいるため応答開始が比較的速いのも特長。
  • 加えて「GPT-4.1 mini」や「GPT-4.1 nano」といった軽量版も投入されており、スピード重視かつ低コストで使いたい場合に選べます。

2. APIで使える新機能:Responses API & 組み込みツール

GPT-4.1は単にモデル性能だけでなく、「APIまわりの使い勝手」も大きく向上しました。OpenAIが同時に発表したResponses APIエージェント機能によって、これまでは手動で組み合わせていた機能が標準搭載されます。

(1) 新しいResponses API

  • 従来のChat Completions APIに加え、OpenAIが新たに提供を始めたAPIです。
  • モデルによるツールの呼び出し・会話履歴・最終応答をまとめて1つのレスポンスとして返す仕組みを持ち、複雑なマルチステップ対話を管理しやすくなっています。
  • 追加料金はなく、従来通りトークン消費分のみで使える点もメリットです。

(2) 組み込みツール(Built-in Tools)

  • Web検索ツール: モデルがインターネットを直接検索し、記事やニュースを取得可能。リアルタイムの情報にも対応できます。
  • ファイル検索ツール: 事前にアップロード・ベクトル化したドキュメント(PDF・テキスト等)から関連箇所をピンポイント検索して回答。いわゆるRAG(Retrieval Augmented Generation)機能を公式で標準搭載しました。
  • Computer Useツール: モデルがブラウザ操作を自動化する機能。実質的にRPAのように「Web上のGUIをクリック操作」までやってくれます。
  • これらのツールはResponses API上でモデルが必要に応じて呼び出すため、開発者がAPI間の連携を自前で書く手間が大幅に削減されます。

(3) エージェントSDK

  • ツール連携やメモリ管理をさらに簡単にするための開発キット。マルチエージェント構成や、会話セッションの長期保持などもサポート予定です。

3. 料金とプランの変更点

(1) GPT-4.1の料金

  • GPT-4.1は、GPT-4.0に比べて大幅に安価です。
  • 具体的には1Mトークンあたり入力$2.00・出力$8.00(モデルのフルサイズ版)で、軽量版(mini・nano)はさらに安くなります。
  • 加えて「同じコンテキストを繰り返し使う場合のキャッシュ割引」が拡大されるなど、従来よりもコストが抑えやすい仕組みになっています。

(2) ChatGPTやGPT-4.5との関係

  • GPT-4.1はAPI専用モデルで、ChatGPT PlusなどのUI上では直接選択できない形です。
  • ただしOpenAIはGPT-4(ChatGPTで提供中のもの)にも段階的にアップデートを行っており、最終的に4.1相当の性能に近づける計画。
  • 一方でGPT-4.5プレビューなど過去の一部モデルは提供終了がアナウンスされ、今後はGPT-4.1系へ一本化されていく見通しです。

4. 具体的ユースケースや活用事例

  • 法律・税務: 長い法律文書のリサーチ支援。GPT-4.1なら100万トークン対応で多量の契約書類や判例をいっぺんに読み込める。
  • 金融・ビジネス: 投資企業が膨大な財務リポートを解析して、誤りや隠れた指標を抽出。
  • ソフトウェア開発: コードレビューや自動生成、テストまでまとめてやってくれる。ReactやフロントエンドのUI構築も高品質。
  • カスタマーサポート: 社内FAQやマニュアルをファイル検索ツールに登録し、質問に対して正確かつ省力的に回答。
  • RPA・業務自動化: Computer Useツールでフォーム入力やブラウザ操作を自動化し、面倒な定型作業を大幅に削減。

5. GPT-4・GPT-3.5との違いを簡単に整理

  • コンテキスト長: GPT-4.1は最大100万トークン。GPT-4が最大128Kトークン、GPT-3.5は16Kや4Kなど圧倒的に少ない。
  • 性能・精度: GPT-4世代でも高精度だったが、4.1はそれをさらに上回る。特にコーディングや長文処理でメリット大。
  • ツール連携: GPT-4.1は公式に検索・ファイル検索・PC操作などを備え、エージェント型AIを構築しやすい。GPT-3.5は独自実装が必要。
  • 料金: GPT-4.1はコスト削減に取り組んでいるため、性能が高いわりに料金が下がっている。
  • 安全性: GPT-3.5→GPT-4への安全策強化をさらに拡張し、4.1ではツール使用時のガードレールも整備されている。

まとめ

「GPT-4.1 in the API」は、OpenAIにおける大きなマイルストーンといえます。

  • 圧倒的に大きなコンテキスト対応(100万トークン)
  • より高いコーディング能力指示遵守
  • Responses APIや組み込みツールで手間なくエージェントを作れる
  • コストもGPT-4より安価

これらの進化で、実務における活用範囲がさらに拡大しました。大規模な社内文書や開発リポジトリをまるごと読み込ませて分析・自動化する、複雑な対話型サービスやRPAを短期間で実現するといったことが、より現実的になっています。

今後はChatGPTなどのUIにも段階的なアップデートが期待される一方、APIを使う開発者にとってはこの「GPT-4.1」が現時点での最先端といえるでしょう。高性能かつ割安な新モデルを活用して、より高度なAIシステムを目指してみてはいかがでしょうか。

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