Proxmox VE ホストを再起動するとき、システムはまずすべてのゲストOSに対してグレースフルなシャットダウンを試みます。この仕組みや挙動のポイントを以下にまとめました。
1. グレースフルシャットダウンの流れ
- ACPI シグナルによる正常終了
ホストは再起動前に、各ゲストOSに ACPI シャットダウンシグナルを送信します。これにより、ゲストOS内の各サービスが安全に終了処理を行い、データの保存やアプリケーションの停止などが実施されます。 - 起動順序の逆順での停止
プロビジョン時に設定された自動起動順序に基づき、ゲストOSは逆順(リバースオーダー)でシャットダウンされます。つまり、後から起動したものが先に停止され、依存関係のあるサービスは正しい順序で終了されるようになっています。
2. 再起動後の動作
- 自動起動(Autostart)の影響
各ゲストOSに自動起動設定が有効な場合、ホストが再起動後、設定に従って自動的にゲストOSも起動します。逆に、自動起動が無効の場合は、再起動後もゲストOSは停止状態となります。 - pve-guests サービスの役割
Proxmox の「pve-guests」サービスが、ホスト再起動時に各ゲストOSの起動・停止順序およびタイムアウト(通常は約180秒)を管理し、設定に沿った操作を実施します。
3. 注意点と運用時のポイント
- HA クラスター環境の場合
クラスター構成や高可用性(HA)の設定がある場合、HA のポリシーに従ってフェイルオーバーやリロケーションが行われるため、個々のホスト再起動時に別ノードへ移動するケースもあります。HA の設定内容に基づき、起動順序やフェイルバックの動作を事前に確認しておくことが大切です。 - シャットダウン処理のタイムアウト
ゲストOS側でグレースフルなシャットダウンが完了しない場合、強制的な停止処理が行われる可能性があります。各ゲストOSにおいて、正常な終了処理を行うための設定・サービス状態の確認を推奨します。
このように、Proxmox VE ではホストの再起動に伴い、事前に各ゲストOSへ安全なシャットダウンシグナルを送信した上で、設定に応じた自動起動を実施する仕組みになっています。運用時は、各仮想マシンの自動起動設定や起動順序、そして HA 構成の有無を十分に確認し、求める運用形態に合わせた設定変更を行うとよいでしょう。