NVIDIA GeForce RTX 5070 Ti にアップグレードした後、MPC-BE を使用してローカルの4K動画(3840×2160)を再生すると映像がぼやける現象が発生することがあります。本記事では、その原因と具体的な改善策を実用的な観点からまとめます。
1. 主な原因の考察
■ ビデオレンダラの設定による品質低下
MPC-BE の初期設定では、ビデオレンダラが “Enhanced Video Renderer (EVR)” に設定されていることが多く、この場合4Kや高ビットレート動画でシャープネスが損なわれることがあります。
■ NVIDIA ドライバ側の画質補正設定
RTX 50シリーズ向けの最新ドライバでは、自動的にノイズ低減やエッジ強調などのポストプロセスが適用され、ディテールがぼやけて見える原因になります。
■ ハードウェアデコード設定
ハードウェアアクセラレーション(NVDEC)の設定によっては、内部的なフィルター処理が入ることがあります。
2. 改善のための設定手順
【ステップ1】MPC-BEのレンダラを変更
- 設定 → 出力 → 映像レンダラ
- おすすめ:
- “madVR”(高品質・詳細なカスタマイズ可能)
- “MPC Video Renderer”(軽量かつ高画質)
- madVRを使う場合、NGU Sharp などのアップスケーリングアルゴリズムを選択可能。
▼ madVRのダウンロードと導入手順
- 公式配布元(例:Doom9フォーラム)または信頼できるソースから「madVR.zip」をダウンロード。
- 解凍後、
madVR
フォルダを任意の場所(例:C:\Program Files\madVR)に配置。 install.bat
を右クリックして「管理者として実行」。- MPC-BE を起動し、「表示 → オプション → 出力」で “madVR” を選択。
- 再生中にタスクトレイに表示される madVR アイコンから詳細設定が可能。
【ステップ2】ハードウェアデコード設定(LAV Filters)
- 設定 → 内部フィルタ → ビデオデコーダ(LAV Video)
- ハードウェアデコード欄:
- 推奨:”D3D11″ または “DXVA2 (copy-back)”
【ステップ3】NVIDIAコントロールパネルの調整
- 「ビデオ画像の設定を調整」
- 「ビデオプレーヤーの設定を使用する」を選択
- ノイズ低減:オフ
- エッジ強調:オフ
- 「ビデオの色設定を調整」
- 「NVIDIAの設定を使用する」に変更(必要に応じて)
- 出力ダイナミックレンジ:”フル (0-255)”
- 出力カラー形式:RGB または YCbCr444(モニターによる)
【ステップ4】映像再生結果を比較
- 一時停止中に画像を保存して、設定変更前後で映像のシャープネスや色表現を比較。
3. 補足:使用ドライバについて
- 使用ドライバ:NVIDIA Studio Driver 572.83(WHQL、2025年3月18日公開)
- 本バージョンにおいては大きな既知の再生不具合は確認されていないが、設定によって画質劣化が起きる可能性あり。
まとめ
RTX 5070 Ti は非常に高性能なGPUであり、適切な設定を行うことで極めて高画質な4K動画再生が可能です。初期設定のままではGPUが本来の性能を発揮できず、映像がぼやけたように感じる場合がありますが、
- レンダラをmadVRやMPC Video Rendererに変更
- ハードウェアデコードを最適化(D3D11)
- NVIDIA側の画質補正を無効化
これらを施すことで、劇的に画質が改善されるケースが多数報告されています。この記事を参考に、ご自身の環境でも最適な設定を追求してみてください。