全体概要
- 共通点
- Wi-Fi 7(ドラフト版のIEEE 802.11be)に対応し、最大320MHz幅チャネル/4096QAMをサポート。理論上最大5.8Gbpsの通信速度を実現できる。
- 2×2ストリーム対応(2本のアンテナを使用)。トライバンド(2.4GHz・5GHz・6GHz)で動作する。
- 下位互換としてWi-Fi 6E/6/5/4(802.11ax/ac/n/g/b/a)にも対応し、Bluetoothも5.4を標準搭載。
- インテル® vProテクノロジー対応(企業向け用途に適したセキュリティ機能などをサポート)。
- Windows 11/10、およびLinuxに対応。Wi-Fi 7をフルに活用するにはWindows 11や最新のLinuxカーネルが推奨。
- 違いの本質
- インターフェースが異なる
- BE200:PCI Express + USB
- 汎用的なM.2 E Keyスロット(PCIe接続)で動作し、メーカーやCPUを問わず様々なPCプラットフォームで使用できる。
- BE201:CNVio3
- インテル独自の最新専用インターフェース。インテル製CPU/チップセットでのみ動作し、対応スロットが必要。
- BE200:PCI Express + USB
- 流通形態・用途の差
- BE200は自作ユーザー向け単体販売モデルも多数出回っており、比較的入手しやすい。
- BE201はOEM向け供給が主で、単体購入は限定的。主にノートPCなどに組み込み済みで出回る傾向が強い。
- インターフェースが異なる
1. 仕様・性能比較
項目 | Intel® Wi-Fi 7 BE200 | Intel® Wi-Fi 7 BE201 |
---|---|---|
フォームファクタ | M.2 2230または1216 | M.2 2230または1216 |
インターフェース | M.2: PCIe (Wi-Fi) + USB (BT) | M.2: CNVio3 (インテル専用) |
アンテナ (ストリーム数) | 2×2 (送信2, 受信2) | 2×2 (送信2, 受信2) |
最大通信速度 | ~5.8Gbps(理論値) | ~5.8Gbps(理論値) |
対応周波数帯 | 2.4GHz / 5GHz / 6GHz | 2.4GHz / 5GHz / 6GHz |
Bluetoothバージョン | 5.4 (LE Audio対応) | 5.4 (LE Audio対応) |
対応OS | Windows 11/10、Linux 等 | Windows 11/10、Linux 等 |
備考 | 汎用的なPCIe接続で、Intel/AMD含め広く使用可能 | Intelプラットフォーム専用(CNVio3) |
ポイント: インターフェース以外の機能・スペックはほぼ同一です。転送速度やチャネル幅、Bluetooth機能などもまったく同等とみて差し支えありません。
2. インターフェースの違い
- BE200(PCIe + USB)
- 従来からある一般的なM.2無線LANカードの方式で、Wi-Fi用にPCI Expressレーンを1本、Bluetooth用にUSBを使う構成。
- Intel・AMDいずれのCPUプラットフォームでもM.2 Key-Eスロット(モジュールを挿せるスロット)を備えていれば利用できる。
- ただし、一部でAMD環境下の相性報告があるため要注意。BIOSやドライバの更新によって解消される場合もある。
- BE201(CNVio3)
- Intelプラットフォーム専用インターフェース。CPUやチップセットと連携して動作する。
- CNVio2(第10世代~)の後継規格で、より新しい世代のチップセットに対応するが後方互換性は基本的にない。
- 主にノートPCや組み込み機器での採用を想定。一般流通量は少なく、主にOEM向け供給が中心。
結論として、既存のPCをWi-Fi 7にアップグレードしたい場合は、一般的にBE200を選ぶのが無難です。一方、企業向けノートPCや最新インテルプラットフォームであればBE201が組み込まれている場合があり、同等性能を得られます。
3. 対応OSとドライバ
- Windows: Windows 11/10で公式にサポート。
- 6GHz帯とWi-Fi 7の新機能(例:320MHzチャネル、MLOなど)を活かすにはWindows 11の最新版が推奨。
- Linux: Intelが公式ドライバを提供し、カーネル側の更新も進んでいるため新しめのディストリビューションなら利用可能。
- macOS: Appleシリコン移行により実質非対応。Hackintoshなども公式にはサポートされていない。
4. ビジネス用途での安定性・企業向け評価
- インテル vProテクノロジーに対応しており、企業のセキュリティや管理機能を充実させられる。
- WPA3やFIPSなど高度なセキュリティ要件にも対応し、ビジネス環境でも安心して導入可能。
- 長期的なドライバアップデートが期待でき、Stable IT Platform Program (SIPP) の一環としてサポートが継続される見通し。
5. 消費電力や省電力機能
- Wi-Fi 7は大帯域幅化により高速化しているが、ターゲット・ウェイク・タイム(TWT)などWi-Fi 6世代からの省電力機能も継承。
- 待機時の消費電力を極力抑える設計がなされており、ノートPCでも大きくバッテリーが減ることはない。
- Bluetooth 5.4ではLE Audioをサポートし、省電力かつ高音質のオーディオ接続が可能。
6. 市場価格と入手性
- BE200:
- 既に単体パーツとして広く出回っており、通販サイトなどで数千円~1万円弱程度で購入可能。
- 需要が高まっているため、価格は徐々に落ち着いてきている。
- BE201:
- OEM向けが主であり、市販パーツとしての流通量は少ない。
- 特定のノートPCやインテル製チップセット対応マザーボードに組み込まれた状態で出回ることが多い。
自作PCユーザーや既存PCのアップグレード用途ではBE200を購入するケースがほとんど。ビジネス用途でインテルプラットフォームの法人向けPCを導入する際にBE201が搭載されている場合もある。
7. まとめ
- 性能は同じ、インターフェースが違う
- 通信機能や速度など、Wi-Fi 7としての基本性能は共通。
- BE201はインテル専用、BE200は汎用。
- 汎用性を求めるならBE200
- 個人・自作ユーザー向け。既存マザーボードで差し替えが簡単。
- インテル製プラットフォームの最新ノートPCにはBE201が搭載されている場合あり
- 法人向けやvPro対応など、OEMの世界で広がっていく。
- どちらもWi-Fi 7の恩恵(高速通信、低遅延、下位互換性など)をフルに享受可能
Wi-Fi 7対応モジュールとしてはまだ新しい世代ですが、高速化や低遅延のメリットは大きく、ビジネス利用から家庭内ネットワークまで幅広いシーンで今後の普及が期待されています。すぐに手に入れやすいのはBE200の方なので、既存PCでWi-Fi 7を体験してみたい方にはそちらがおすすめです。